DIARY OF WAR


 Diary No.34「マラリアと兵力」

 今、地球の温暖化に伴い熱帯病であるマラリアが、
日本にも入ってくるのではという危惧が高まりつつある。
拙著「戦陣の断章」にも書いたが、南方戦線では敵との戦闘以外に
マラリアとの闘いでもあったのである。
ひとたび罹患すると、数日にわたる高熱のため戦力にならなくなる。
しかもこの病気はハマダラ蚊という蚊によって媒介されて発症するから
蚊を撲滅しない限り撲滅できないから不可能に近い。

戦場でも宿舎には蚊帳を吊り、椰子の実の繊維で編んだ蚊遣火を宿舎の周囲に提げておいた。
しかしそれでも蚊を絶対いれないということは不可能である。
当初は、予防薬としてヒノラミンとかプラスモヒンといった薬を常時飲んでいたが、
それでも罹患したし、それらの予防薬も次第に底をつき、
果ては土民が常用しているとの情報で
「シマソケイ」という樹の皮を煎じて飲んだりもした。
マラリアには、三日熱、四日熱、熱帯熱といった区分があり、
終息までの日数で病状に差があった。
ひとたび罹患すると40度以上の熱が、一日置きに出てガタガタと振るえが出る。
そのときの気分は話では伝えられない。

上下の歯がガツガツ音を立てる程。

 戦友に布団を掛けてもらい上から乗っかってもらう。
それでも収まらない。頭がおかしくなってしまう。
人によっては気がおかしくなる。
この病気が蔓延しては戦力低下を免れないことは想像できると思う。
警備中、私も何回罹患したことか。
マラリアと下痢を併発したら一巻の終わりとなる。
幸い転進中に罹患しなかったことは幸いであった。
マラリアに罹った時の気分を嫌というほど味わった私にとっては
日本に発症しないことを祈るばかりである。

Diary No.035「忘却の彼方」
 

 

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