Diary No.10「決戦用」
士官学校在校中は先輩の着た古い服でした。帽子もそれなりに色褪せたもの。 墨で書いた註記(名前のこと)も先輩何人かの名が消してありました。 ところが卒業の2日前には、帽子、洋服全部新品。 すっかり新品見習士官になり晴れて卒業。それぞれ原隊に帰って行きました。 そして2か月余にわたるよれよれ転進で、上から下までボロボロ。髭も伸びほうだい。 乞食同然の格好でトーマに辿り着きました。 数日休養をとった後、全員に新品の帽子、衣服が2着支給された。 説明によると、 1着は決戦用だという。 つまりラバウルに敵が上陸した時に、この決戦用衣服で最後を迎えるというのだ。 幸い敵さんは上陸せず、決戦用衣服は復員時に持ち帰ることが出来た。 この服も今は既に無い。
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