DIARY OF WAR


 Diary No.7「連帯責任」

 戦場にあっては一人の不始末のために部隊全体に
不測の事態が及ばないようにせねばならない。
また武人として最後を迎えた時も身辺は常に綺麗にしておかなければならない。
このような趣旨で、久留米の士官学校では、学校内にあっても演習の最中は勿論、
行き帰りにおいても整理整頓、身辺整理、規律などについても徹底的に教え込まれた。

久留米の士官学校の在校時は、自習時間、演習の行き帰りにあっても
この精神を心に銘じて行動するよう叩き込まれていた。

 ある日、演習から帰校し夕食も終わって一同自習室で寛いでいる時、
当日、週番士官(大尉)だった陸士出の第三区隊長が入ってきた。
「敬礼!!」との大声に一同立ち上がって徒手の敬礼をした。
すると区隊長は「一同上着をぬけ!!」との命令。
区隊長は、片側から順に「ビーン」「ビーン」とひとりずつぶん殴り始めた。

 あっけにとられた。

 私の隣にきた時は思わず目を瞑った。「グアーン」としてぶっ倒れた。
耳のあたりを殴られたようだ。
隣の候補生に移った時も未だ立ち上がれなかった。
全員殴り終わったあと区隊長は、おもむろに口を開いた。
「貴様らはなんだ!洗濯も出来ないのか!こんなことで将校生徒といえるか!!」
いい終えて帰って行った。
見れば、私も含めて10人程は裸の上に上着を着ていたのである。
襦袢(軍隊ではシャツのことを言う)を洗う暇がないとは通用しない。
これが将校生徒のたしなみというものなのだ。
また、これが「連帯責任」というものである。
お互いウラッミコはしない。区隊長のこともウラマナイ。
幸い殴られなかった者からは慰められたが、
申し訳ない気持ちで複雑な気持ちになったものである。

あの区隊長はその後どうなったか。
おそらく少佐になってどこかの戦場に出向いたと思うのだが・・・。


 

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