Diary No.6「敵機」
バルチン山麓一帯に集結したわが第65旅団は、第8方面軍の予備隊として ラバウル湾に上陸してきた敵に対し最後の抵抗をする任務を担っていた。 歩兵第141連隊は、それぞれの所属ごとに「地獄谷」付近に壕を構築した。 このことに関連して、私は大隊長の命を受け、旅団司令部に連絡事項を携えて出向を命じられた。 トラックの運転手はA兵長、私は運転室の後ろに立ち、敵機の爆音を聞いた時は、 急遽運転室の屋根をどんどんと叩いて知らせ、退避することになっていた。 約2キロ進行した時、案の定爆音が聞こえた・・・ 丁度道路の左側の切り立った崖のところにさしかかったところに退避壕(トラックが丁度入り椰子の葉の屋根がかけてある) があったので運転手は大急ぎで退避しようとした。 ところが敵機の方が早かった! ノースアメリカンB25はゴーツと襲い掛かってきた。 私と運転手は急遽壕の奥の土壁にへばりついて避難しました。 敵機はバリバリバリと銃撃を浴びせてきて、機関部に命中したのかアットいう間にトラックは炎上してしまった。 二人は唖然。なんとか命拾いしたがトラックは使用不能。従って用務は不可能となってしまった。 2キロの道をやっとこさ本部まで来隊し、大隊長に事情を報告し了解を得、改めて任務を終えたが、 こんなことで生命を落とさないでよかったと思い返したものである。
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