DIARY OF WAR


 Diary No,1 「運命の日」

 朝から勇ましい軍歌と共に開戦のニュース。
私はまだ在学中でしたが、丁度その日は陸軍軍人の集会所の偕行社で徴兵検査がありました。 晴れて甲種合格、私はこのことを大変誇りに思いました。 当時、私にとって徴兵検査で甲種合格になり、晴れて帝国軍人になれることは誇りでした。 現代の多くの親たちや若者には想像できないことでしょう。 その徴兵検査の帰りに、 ローズハウスという行きつけの音楽喫茶店に立ち寄り、 彼女に頼んでベートーベンの「運命」をかけてもらいました。 第五「運命」は その後何回聞いたか分かりません

 よく音楽仲間と 「トスカニーニだ!」「フルトベングラーだ!」「ワインガルトナーだ!」
やれ「ローゼンシュトックだ!」などと、指揮者によって曲の表現の仕方が違う!と 議論したものです。

  話は戻りますが 徴兵検査の後、音楽喫茶で懐かしい音楽を聴いていた・・・
このような話は、まだまだ古き良き時代の名残りでしょう。 その喫茶店はもうありません。 そこにいた彼女もお亡くなりになりました。
しかし「運命」の曲は今でも第一楽章から、第四楽章まで憶えています。

 出征前、私の青春時代の思い出です。
貴君からの資料で、零戦のことが偲ばれました。
ラバウル西北の「ラクネ」という所で出動待機をしている時の事、ラバウル東飛行場(世にいう「ラバウル海軍航空隊」の基地)から 飛び立った零戦と一式陸攻が、丁度「ラクネ」上空でグルグルと旋回しながら 編隊を組み雁系になると、南東方面に出動して行きました。
ブーゲンビルか、ガダルカナル方面に行くのでしょう。
海岸に出て思いっきり「頑張ってこいよ!」と叫んだものです。
果たして何機が戻ってくるのか・・・と、思うと、つい涙が出たのを憶えています。
ラクネ上空ではよく空中戦をやっていました。
高度が高いのでどちらが敵か判りませんが、片方が撃墜されて落ちてきます!
その機に日の丸が付いていると、「畜生」と思ったものです。
空の戦場とはそういうもの・・・一機一人が失われたのです。


 

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