Diary No.4「軍人に賜りたる勅諭」
私が久留米の士官学校で将校生徒として訓練を受けている時の話。 週に一回、講堂で中隊長の精神訓話がある。 われわれ候補生の年齢は20〜24歳、中隊長は29歳ぐらいか? 勿論、陸軍士官学校を優秀な成績で出ていると思う。厳かな口調でやる訓話の威厳のあること。 当時は年上だし、年齢のことなど考えなかったが、今にして思うとどうしても 現在の若者の歳を重ねてしまう。 精神訓話の最後には、毎回自分で作成した次の言葉を全員で唱えさせられる。 勅諭に生き勅諭に死す。われは皇軍の禎幹(ていかん・鏡の意)たり。 自ら信じ、自ら任じ、自ら重んず。 勅諭とは軍人勅諭を言い、 明治15年1月4日に陸海軍軍人のあり方を懇切に教えたもので、 長文なものであった。これはわれわれが学校に在学中から覚えさせられたので、 覚えるのにそれほど苦労には感じなかった。 下士官以下は、その中の次の5ヵ条だけ覚えればよかった。 1、軍人は忠節を尽くすを本分とすべし 1、軍人は礼儀を正しくすべし 1、軍人は武勇を尊ぶべし 1、軍人は信義を重んずべし 1、軍人は質素を旨とすべし この勅諭は、前段に軍隊が出来るまでの経緯。 神武天皇ののころから軍隊は天皇自ら統率してきたという趣旨から 700年余武家政治になり、 大政奉還で遂にもとの 天皇の軍隊に戻ったということが縷縷述べられ、 次に5カ条の説明になり、最後の結びとなります。 全文実に名文で、5カ条のうち礼儀、信義、質素の項は今の社会にも通じる内容でした。
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